酒を飲んだ翌日は寝覚めが悪くなる。何度もトイレに行きながら布団の上でぼんやりしている。人と話した翌日は反省会が始まる。会話中の失敗部分がダイジェストで切り抜かれて、延々と脳内で流れ続ける。

つまり、酒を飲んで人と話した翌日は地獄である。半覚醒の状態で昨日の過ちを追体験し続ける。

朝起きた時点でこれはダメだと分かったので、今日は創作を諦めて外に出た。神奈川県文学館で安部公房の企画展を見た。美術館や博物館と違って、作品自体を鑑賞できるわけじゃないから、会場でできることは一種の追憶みたいな感じ。原稿や手紙、メモの断片。なので、それ単体で意味のあるものは少ないけど、原稿に入った手書きの修正を見るのは楽しかった。自分の作品ならgit diffのログだなと妄想したりした。

自分が読んだことあるのは「壁」「砂の女」「箱男」だけで、知らない作品がたくさんあった。帰りに本屋で第四間氷期を買おうとしたけど、見当たらなかったのでAmazonで注文した。実は文学館の出口で売ってたんだけど読んでないのがバレたくなくて物知り顔で帰ってきたのだ。

快活クラブで少しだけ社会の仕事をして、それから蒲田駅前の図書館に行った。新聞の縮刷を読むためだ。SAEKOの舞台は2008年10月で、フレーバーテキストのために当時の記事を見ておきたかった。紙面は暗かった。ちょうどリーマン・ショックの時期だった。みんな不安そうにしていた。昔の人もお酒を飲んでなんとか生き延びてきたのかな。