自宅で黙々と作業するのに耐えられなくなって、1泊2日で群馬の温泉に行った。すごく小さい温泉街で、旅館は5軒くらいしかなかった。夜はライトアップがあって、赤いハートのオブジェが神社の参道に光っていたけど、自分たち以外の観光客は誰もいなかった。お店も閉まっていた。地元の定食屋で、警察交通課の密着ドキュメンタリーが流れるなかサバ焼き定食を食べた。
次の日、地図を見ていくつかの場所に行った。相変わらず他に客はいなかったので、スムーズに見学が済んだ。電車に乗って高崎まで帰った。東京まで一本。でも帰りたくなかった。予想よりはるかに早い時間だったし、この2日間で何も特別な体験ができなかった。このまま旅行を切り上げて、元の退屈な日常に戻りたくなかった。
高崎駅前のメロンブックスとアニメイトに行った。広くて楽しかった。ラノベを何冊か買って、それからグリーン車に乗り込んで読んだ。世界は美しい言葉で溢れていた。あっというまに東京駅に戻っていて、一面にブルアカの広告があった。リオ、カリン(制服)、ホシノ(臨戦)。イラストとセリフのコンビネーションが、通行人よりも高い場所から爛々と輝いていた。
そのまま家に戻った。2日間の旅行を経て、世界の美しさに再び気づくことができた。今はすべてが美しく見えている。