WECを観に行きました。WECというのは、世界耐久選手権(World Endurance Championship)の略称であり、決められた時間のあいだにどれほど多くサーキットを周回できたか競うクルマのレースです。ル・マン24時間もWECの中の1戦だったりします。

スタートグリッド

表彰台

というわけで行きました。日本での1戦は富士6時間レースと呼ばれていて、御殿場からバスで30分くらいのところにある、富士スピードウェイというサーキットで開催されています。

自分は一般的なクルマにはあまり関心がないんだけど、友達にクルマ好きの人が多いのと、個人的にもレーシングカーのデザインが大好物なので、観ていてとても楽しかったです。F1と違って、性能調整という仕組みがあり、チームは一定以上に速いクルマを作ることができません(作ると強制的に遅くさせられる)。そのため、F1のように極限まで速く作られたクルマは存在しない反面、「速くないけどカッコいい」的なアイデアを車体に入れる余裕が生まれるため、チームのクルマは親会社のブランドを反映したユニークなものになっています(そして、最も重要なことに、開発にかかる金額を抑えられるため、多くのメーカーが参戦する理由になっています)。

Peugeot 9X8

Peugeot 9X8

A424

A424

いやーーーーーよかったですね。話し始めるとキリが無いし、このブログを読みに来る人の関心とは違うと思うから、レース自体についてはあまり書きません。でもとにかく良いレースでした。

あと、WEC観戦の良いところは、その圧倒的な長さですね。6時間もあるので、スタンドの観客席に座り続けることはできません。周回遅れも多いし戦略も複雑だから、真面目に展開を追うことも難しいです。なので、スタートが終わると観客は席を離れ、場内の芝生とか露店とかで思い思いの時間を過ごすことになります。

ヘアピン

セクター3

クルマは一瞬しか見えなくて、誰が何周目かも分からないから、体験としては遠くでクルマが走っている公園にいるような感覚に近いです。そしてそれが心地良い。エンジン音も慣れてくると、気味の良いノイズミュージックに聞こえてくるし、サーキットの他には県境の山と空しか見えない。時折スピーカーの実況が聞こえてきて、遠くで何かアクシデントが起きていることが分かる。数十秒遅れて、バンパーのない低速のレーシングカーが、歪んだ車体を引きずるように火花を散らしながら通り過ぎていく。

ちなみに、レーシングチームのデザインについて書くと、Genesis Magma Racingのデザインシステムがカッコよかったです。今年初参戦のチームなんですが、Genesis Magmaというのはヒュンダイの高級車シリーズの名称で、チームのロゴや車体にはMagmaのハングル表記、「마그마」のタイプが反映されています。とんでもなくカッコいい。感化されてウェアを買おうとしたら、長袖のトレーナーが2万4000円とかして泣きました。

Genesis Magma Racing

ピットウォークをすると、いろんな意匠が見れて良いですね。特に海外のレースだと、細かい部分までデザインがバチバチに決まっていて、もうとんでもなく嬉しいです(自分の写真で伝わるかは分からないけど……)

Garage 59

Peugeot

TotalEnergies

ちなみに、WEC人気もあってホテルを取るのが難しく、唯一取れたホテルはやや個性的でした。二重扉で、やたら広い風呂場にはジャグジーとサウナがあり、ボタンを押すとなぜか照明が消えてジャグジーの水面が虹色に光りました。壁にはギリシア風のレリーフがあり、柱に手をついて乳房をはだけさせた女性が、後ろを困ったように振り返っていましたが、そこにはキャンバスの空白があるばかりでした。

ラブホ

こういう装飾はセックスには明らかに不要だけど、そういう不要な装飾に凝れるのが人間文化の素晴らしさだと思った